【糸魚川ISSH認定住宅の暮らし探訪④】観葉植物が彩る、カフェライクなリビング

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鈴木 亮平

新潟県聖籠町在住の編集者・ライター・カメラマン。1983年生まれ。企画・編集・取材・コピーライティング・撮影とコンテンツ制作に必要なスキルを幅広くカバー。累計800軒以上の住宅取材を行う。

糸魚川住宅基準“ISSH(イッシュ)”認定住宅で暮らすオーナーさんへのインタビュー。(ISSHの概要は、第1回目の記事をご覧ください)

第4回目は、グリーンの金属サイディングと糸魚川杉を組み合わせた外観が印象的なTさんご家族の住まいです。2023年12月に完成したこちらのお宅の断熱性能はUA値0.34(ISSH★★)で、外壁の一部と管柱に糸魚川杉を使用。家の内外には奥様が好きな植物が所狭しと置かれており、園芸店やカフェのような雰囲気を醸し出しています。

現在はご夫婦とお子様の4人で暮らしており、将来的にはお隣に住む奥様のお母様も一緒に暮らせるように設計されています。では、お話を聞いてみましょう。

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リフォームよりも性能を高めやすい新築を決断

――家づくりをすることにした経緯を教えて頂けますか?

ご主人 この家の隣に妻の実家があり、これまではそこで同居をしていたんです。はじめはその家をリフォームすることも考えていたんですが、新築の方がより性能を高めやすいだろうということで、ここに立っていた空き家を購入し、解体して新築することにしました。

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――ISSHの家にしようと思った理由を教えて頂けますか?

ご主人 一生に一度の高い買い物ですから、ちょっと無理してでも性能がいい家を建てた方がいいんじゃないかと思ったことが理由ですね。あと、糸魚川市独自の補助金が50万円もらえるというのも魅力でした。

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――糸魚川の杉を使うことについてはどのように感じていましたか?

ご主人 木材を地産地消することで地元の林業に貢献できますし、地元で調達できるため輸送費がかからない点もいいなあと思いました。

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糸魚川の杉は、柱と外壁の一部に使っています。外壁は落ち着いた色がいいなと思っていたので、少し濃い色味の塗装で仕上げて頂いたのですが、グリーンの金属サイディングとも合っていてすごく気に入っています。まだ1年ちょっとしか経っていないですが、今のところ劣化もありません。

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床下エアコン19℃設定で、ちょうどいい暖かさに

――1年間住んでみて、住み心地はいかがですか?

ご主人 すごくいいですね。エアコン1台で夏も冬も家の中の温度が一定になり、とても快適です。以前は冬になると、朝寒くて布団から出るのが嫌だなあと思っていましたが、今は快適に起きられます。仕事から帰ってきた時に家の中が暖かいのもいいですね。電気代もそれ程かかっておらず、経済性も魅力です。

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冬の間は床下エアコンの温度を19℃に設定して、ずっと止めずに稼働させています。あまり暖かくし過ぎると汗をかいてしまうので、私たちは19℃設定がちょうどいいですね。

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以前は厚着をしてみんなでコタツに入っていましたが、今はもうコタツを使う必要もありません。

寝る時の毛布もいらなくなり、掛け布団1枚だけで過ごせるようにもなりました。

奥様 前の家では、冬は靴下とスリッパを常時履いていましたが、この家では床が暖かいので素足で過ごせます。夏も暑い外から帰ってくると家が天国に感じます(笑)。

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ご主人 私たちは夏のエアコンの寒さが苦手だったんですが、この家では設定温度を少し高めにしても気持ちよく過ごせるので、長時間家で過ごしていても苦になりません。

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――春や秋の過ごしやすさはいかがでしたか?

ご主人 春や秋は窓を開けておくと風が抜けて気持ちいいですね。夜になると気温が下がり外は肌寒くなりますが、家の中は昼間の温度が保たれるので、暖房を使うことなく過ごせます。今年暖房を初めてつけたのも11月の終わり頃でしたね。

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何かあった時、すぐに駆けつけてもらえる安心感

――ISSHの条件に、地元の建築会社さんで建てることがありますが、その魅力はどんなことでしょうか?

奥様 まず、近いので打ち合わせに行くのが楽でしたね。

ご主人 それに、いろいろ相談しやすいです。ちょっとドアの可動が悪い時に連絡をしたら、すぐに直して頂きました。それから、住み始めてわりとすぐに能登半島地震があったのですが、担当の方が心配してすぐに来てくださいましたし、そういうところも地元の会社さんはいいなあと思います。

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冬の暖房費を削減できる高気密高断熱の家

――これから住まいづくりをされる方に向けたアドバイスなどはありますでしょうか?

ご主人 家は一生に一度の買い物だと思いますし、長年住んでいくものですから、建築費がある程度上がったとしても、あまり妥協しない方が良いのかなと思います。

奥様 高気密高断熱仕様にしたことで1つのエアコンで過ごせていますし、光熱費も安く済んでいます。給湯とコンロはガスですが、最も電気代が多くかかる冬でも今のところ1カ月の電気代が2万円を超えたことがないので、灯油をたくさん使っていた以前の暮らしと比べて、光熱費がかなり安くなっていると思います。

ご主人 そうですね。初期費用は上がりますが、トータルで見るとメリットが大きいと思います。

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観葉植物と共に暮らす

――この家に住んで満足していることや気に入っていることはどんなことでしょうか?

ご主人 繰り返しになりますが、常に温度が一定ということが一番気に入っていることです。あとは、見た目も素敵にして頂いたので、テンションが上がります。

それから、2階の小上がりは掘りごたつ式になっていて作業がしやすいので、テレワークをする時に重宝しました。疲れたら畳で寝転がれますしね。

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奥様 私は植物を飾れる家にできたことですね。天井から植物を吊るせるようにレールタイプの照明を入れて頂いたり、窓際にはバーを取り付けて頂いたりしました。

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観葉植物、サボテン、多肉植物が中心で、だんだん数が増えています。冬の間は外に置いている植物を家の中に入れるため、これからの時期は特に植物でいっぱいになりますね(笑)。

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あとは、玄関からパントリーを通ってキッチンに入れる動線も便利ですし、トイレに選んだウィリアム・モリスの壁紙も気に入っています。

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掃除や洗濯も楽しみの一つに

――この家に住んでから、生活の仕方で変わったことはありますか?

ご主人 私は以前よりも掃除をよくするようになりました。きれいな状態を維持したいと思うので。あとは、普段帰ってくるのが一番遅い私が夜に洗濯をするんですが、すぐに乾くので洗濯物を干すことが楽しくなりました。加湿もされて、家の中が程よい湿度になりますしね。

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奥様 家の居心地がいいので、休日にあちこち出掛けることが減りました。家でゆっくり過ごすことが楽しみになっています。

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表情豊かなオークの床が張られた上質感のある空間に、さまざまな植物が融合するT邸のリビング。心地いい温熱環境が相まって、くつろいだ雰囲気があふれていました。

【T邸DATA】
竣工年月:2023年12月
延床面積:107.23㎡(32.38坪)
UA値:0.34
耐震等級:2(許容応力度計算)
糸魚川住宅認定基準ISSH:★★


ここまで、糸魚川住宅基準“ISSH”認定住宅で暮らすオーナーさんの住まいを4軒訪ね、その住み心地を伺ってきました。みなさんに共通していたのは、高い断熱性能がもたらす快適さに心から満足し、高性能化に伴う建築費の増額に見合う価値を感じていたことでした。

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また、断熱性能は完成後にリフォームで簡単に安く高められるものではないため、新築計画時に優先順位を高めておくことが合理的と言えるかもしれません。

2023年に始まったISSHは、2024年度は糸魚川市で完成する新築住宅の10%超の住宅が認定される見込みなのだそうで、スムーズなスタートを切っています。

そこに住む家族にとってのメリットはもちろん、地元の林業の活性化や里山の環境保全、自治体の医療費削減、CO2排出の抑制、良質な住宅ストックの形成など、幅広い社会的なメリットが期待される糸魚川住宅基準ISSH。今後のさらなる普及への期待が高まります。

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ISSHの制度について詳しく知りたい方は、ぜひISSH公式WEBサイトをご覧ください。

寒さが厳しさを増すこの季節、改めて住宅の断熱性能について考えてみてはいかがでしょうか?

取材コーディネート/緑でつなぐ未来創造会議(3M)・糸魚川商工会議所

写真・文/Daily Lives Niigata 鈴木亮平


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新潟県聖籠町在住の編集者・ライター・カメラマン。1983年生まれ。企画・編集・取材・コピーライティング・撮影とコンテンツ制作に必要なスキルを幅広くカバー。累計800軒以上の住宅取材を行う。