建物が密集する上大川前通につくられた3世代が暮らす家

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鈴木 亮平

新潟県聖籠町在住の編集者・ライター・カメラマン。1983年生まれ。企画・編集・取材・コピーライティング・撮影とコンテンツ制作に必要なスキルを幅広くカバー。累計800軒以上の住宅取材を行う。

新潟市中央区上大川前通。信濃川と本町の間に伸びる通りで、その道沿いには昔ながらの町屋とビルが混在している。

そんな上大川前通から一本横に入った小路沿いに立つK邸の建替工事が2018年末に完了した。

手掛けたのは、施工会社の株式会社Ag-工務店、設計業務を行う加藤淳一級建築士事務所

K邸の敷地は約39坪。南西側の小路に面しているが、車が1台通れる程度の道幅で、南東面以外の3方は建物に囲まれている。

元々は50代のKさんご夫婦のお母様がここで一人で暮らしていたが、築40年超の古家はビー玉を置くと転がっていくくらいに不同沈下し傾いていたという。

そんな古家を解体し、Kさんご夫婦、大学生の息子さん、お母様の4人で暮らす家に建て替えすることを決めた。

 

LDKと水回り、お母様の部屋をバランスよくまとめた1階

ご主人の要望は、3台分の駐車スペースを確保することと、なるべくシンプルな長方形の家にすることだった。

敷地の北西側1/3程を駐車場として取り、残りの2/3を使って総2階の家を建てた。

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ガルバリウム鋼板の壁で覆われたシンプルなフォルムの家は、軒高を抑えることで耐震性を高め、耐震等級3をクリア

駐車スペースから玄関まで雨に濡れないように庇を出している。

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玄関ドアはスライドドアを採用。ドアを開けると、コンパクトながら収納量たっぷりの玄関が現れた。

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シナ合板の明るい色味の下駄箱は大容量ながら圧迫感を感じさせない。階段下の空間を利用した収納も備えられている。

靴を脱いで玄関ホールに上がり、そこから左側に進むとお母様の個室がある。

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6畳程度の空間にはベッドやテーブルのほか、タンスなどが置かれる予定。道路側の窓は小さめに、駐車場側の窓は少し大きめにしている。

再び玄関ホールに戻ると、正面に見える中空ポリカが入った建具から光がこぼれていた。

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引き戸を開けた先は、家族みんなで過ごすLDK。

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入って左側は対面キッチンと横並びのダイニング。右側がリビングだ。

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ダイニングの後ろの収納スペースは、右半分は食器棚で、中の様子が見えるように中空ポリカの窓を付け、左側は食品などの雑多なものを隠せるようにしている

奥から見たLDK全景がこちら。

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キッチン前のカウンターは収納とPC用のデスクを兼ねた実用性の高いデザイン。作業用としてはもちろん、小物や花を飾るのにも丁度いいスペースだ。

天井高は低い所で2,200mm、高いところで2,450mmとし、メリハリを出している。玄関ホールとLDKの間の建具は高さを2,200mmにして水平ラインをそろえるなどディテールを整えているのも特徴だ

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窓の高さもすべて2,200mmで統一している。

ダイニングテーブルは、オークの床に合わせて沼垂テラスにある家具工房ISANAにオーダーメードで作ってもらったものだそう。

キッチンのカップボードは、下部は造作。上部の吊り棚は既存の物を再活用し、扉だけシナ合板に替えて統一感をつくり出した。

扉を開けると中の棚は昇降式になっているので、上の方の物まで手が届く。メーカーの既製品ならではの便利な機能だ。

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そこから振り返ると、キッチンから洗面室、脱衣室、浴室が一直線に伸びているのが見える。

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脱衣室には2本の物干しポールがあり、ここでたっぷり洗濯物を干すことができる。ちなみに上に見えるOSBの部分はエアコンの配管を隠すカバー。

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その奥にある浴室は、高窓からの光が注ぐ明るい空間だ。

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セカンドリビングを中心に据えた2階

次に玄関ホールへ戻り、今度は階段を上がって2階に行ってみよう。

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階段を上がると現れるのは、天井が高いこちらのセカンドリビング。

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小屋裏までが一体になった開放的な空間で、北東の窓から安定した光が注ぎ込み、穏やかな雰囲気に満ちていた

また、1階の床は節が多いオーク材だったのに対して、2階は明るい色合いのバーチを採用。温かく優しい表情の部屋に仕上がっている。

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奥のロフトへは階段を使って上り下りできるので、荷物の上げ下ろしもストレスなく楽々できる

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こちらがロフトスペース。

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季節ものの服や、たまにしか使わない道具、捨てられない思い出の品などをたっぷりとここに収納できるし、取り出すのもスムーズ。

落ち着ける空間なので、集中して読書をするのも良さそうだ。

ロフトから見下ろしたリビングがこちら。

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ロフトから階段を下りて正面のドアを開けると、そこにも収納スペースが設けられている。

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こちらは服をまとめて収納できる便利な空間。布団やスーツケース、アウトドア用品などのかさばるものも余裕で納められる。

その隣にあるのは息子さんの部屋。

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天井の一部を折り上げて梁を見せるデザインにしているのが特徴だ。梁や火打梁を白で着色し、軽やかな雰囲気をつくり出している

水色のロールスクリーンが室内を明るくポップな印象にしてくれている。

そして、この家の2階で特に珍しいのが、半分屋外扱いにしたサンルームだ。

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南西向きで日当たりのいいサンルームだが、床は水に強いFRP、壁はラフなラーチ合板で仕上げている

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その理由は、この物干し場を半分外として考えているから。外出時に窓を開け放しておけば風を取り込むことができ、洗濯物を早く乾かすことができる。しかし、雨が降れば窓から入ってきた雨で室内が濡れてしまう。

そんな不安を解決するため、多少濡れてもいいFRPやラーチ合板で仕上げている

ちなみに手前の3枚の引き戸を閉めて施錠ができるので、窓を開け放して出掛けても安心だ。

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こちらも建具に中空ポリカを使い、光をたっぷりと室内に取り込めるようにしている。

リビングのソファの裏側にあるのはコンパクトな収納スペース。

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普段使いの物を隠して収納するのに丁度いい。上部を開けているため、リビング側から見た時に抜け感が感じられ、さりげなく広がりが感じられるようにように配慮されている点も注目したいポイント

そして洗面台、トイレもこの一角に固められている。

その奥が夫婦の寝室だ。

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部屋の両サイドにクローゼットが付いているが、ご夫婦それぞれの専用のクローゼットとなっている。

壁に付いているOSBは、脱衣室と同様にエアコンの配管を隠すカバー。ご主人の希望で、配管のメンテナンスがしやすいようにこのような設計にしている。

また、エアコンの室外機を建物裏手に集中して配することで、外観をすっきりさせている

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建物密集地で敷地面積39坪という厳しい条件の中で建てられたK邸。

目線が奥へと伸びていくような設計がなされており、中に入ると、外から見た印象よりもずっと広く感じられる

限られた広さの中で、ゆとりあるロフト収納や、日当たりのいいサンルームを確保するなど、使いやすくバラエティに富んだ空間も特徴。

また、建具は全てを造作にこだわるのではなく、既製品を上手に採り入れることでさりげなくコストを抑えている。高さをそろえてシンプルにまとめ、既製品でも統一感が感じられるのは設計のテクニックによるものだ。

3世代の家族全員が快適に暮らせるちょうどいいバランスの設計で、コンパクトな佇まいは建物が混み合う下町の風景によく似合っている。

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K邸
新潟市中央区
延床面積 37坪(1階18.4坪 2階18.6坪)
竣工年月 2018年12月
設計・施工 株式会社 Ag-工務店
設計 加藤淳 一級建築士事務所

(写真・文/鈴木亮平

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鈴木 亮平

新潟県聖籠町在住の編集者・ライター・カメラマン。1983年生まれ。企画・編集・取材・コピーライティング・撮影とコンテンツ制作に必要なスキルを幅広くカバー。累計800軒以上の住宅取材を行う。