【インタビュー】沼垂テラス商店街で観葉植物店兼設計事務所を運営。PLOOT・齋藤祐司さん

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鈴木 亮平

新潟市在住のフリーランスの編集者・ライター(屋号:Daily Lives)。1983年生まれ。企画・編集・取材・コピーライティング・撮影とコンテンツ制作に必要なスキルを幅広くカバー。紙・WEB問わずコンテンツ制作を行う。

新潟市中央区沼垂東3丁目にある沼垂テラス商店街。古い街の活性化事例としてメディアで取り上げられることが多いこの商店街には、個性的なお店が軒を連ねています。

今回紹介する株式会社PLOOTは住宅や店舗の設計施工を行うアーキテクトビルダー。2018年2月に観葉植物店兼設計事務所として沼垂テラス商店街にオープンしました。

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代表の齋藤祐司さんが2016年に独立して始めたPLOOTですが、沼垂に店舗兼事務所を構えてから1年が経過。

どんな設計を行っているのか?そして、なぜ沼垂テラス商店街で観葉植物店兼設計事務所をオープンしたのか?齋藤さんに伺いました。

 

株式会社PLOOT
代表 齋藤祐司さん
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1983年生まれ。新潟市出身。大学で建築デザインを学び、いくつかの設計事務所を経て2016年に独立。2018年に沼垂テラス商店街に店舗兼事務所をオープン。住宅や店舗の設計施工、観葉植物の販売を行っている。

 

立つべき形を突き詰め、最適解を導き出す

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鈴木:最初に齋藤さんの経歴を教えて頂けますか?

齋藤:大学で建築の勉強をしていて、卒業後に3社の設計事務所での勤務を経て2016年に独立しました。建築を学び始めた時から、いつかは独立をしてやりたいなと考えていたんですが、やはり自分の作品を残すためには自分で会社を興すしかないと思うようになっていったんです。20代での独立をイメージしていましたが、その予定よりは時間が掛かってしまいました。

鈴木:次に、建築で大事にしている考え方について教えて頂けますか?

齋藤:私たちが建築を依頼される時には既に条件が与えられています。それは、土地の特徴や予算、お施主さんのパーソナリティーだったり。その中で立つべき形を突き詰めていくと一つしか残らないと僕は思っていて。その最適解を合理的に突き詰めていく、という考え方でやっています。

建ち方」って言ったりしますが、そこにあるべき建ち方を見つけることを念頭に置いて設計しています。

鈴木:それを導き出すにはどのような過程を踏んでいくのでしょうか?

齋藤:案件によるところではあるんですが、敷地の条件から考えていくことが多いですね。実はそこは自分の主観で決まっていく部分なんですが、その土地に立った時の印象から、そこに建てたいボリュームを考えていきます。

そこが決まってから他の条件も考えていき、またボリューム検討に戻ったりという反復を繰り返していく感じです。

最初は複数パターンで考えるんですけど、だんだんと一つにまとまっていくというプロセスを踏んでいます。なので、時間がめちゃめちゃ掛かります(笑)。途中からは消去法みたいな感じになっていきますね。

鈴木:ちなみに齋藤さんが最適だと思った答えを導き出しても、お施主さんの同意が得られないということもあるんでしょうか?

齋藤:そうですね。でもお施主さんが納得していない時点でそれは最適解にはなっていないんです。自分がいいと思うイメージに固執して押しつけになってはいけないので。そこは先ほど話した「反復を繰り返す」部分であり、施主さんと一緒につくっていくものだと思っています。

鈴木:なるほど…。では、これが最高のプランだと思ってもお施主さんがのっていない場合は、すぐに次のプランに切り替えていく感じなんですか?

齋藤:そうですね。なので、最初に先行してどれだけお施主さんのパーソナリティーを引き出せるか、ということが重要だと思っています。打ち合わせの回を重ねていくことで見えてくるようになりますね。

 

ディテールを突き詰め、建築のち方を考える

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鈴木:では次に、齋藤さんが影響を受けた建築家や建築について教えて頂けますか?

齋藤:常に建築家の本を読んで影響は受け続けているのですが、学生時代は独創性のある建築に憧れていて、ヘルツォーク&ド・ムーロンレム・コールハースザハ・ハディドなどの建築を専門誌で読んでいました。形や建築の考え方、設計のプロセスを見ていましたね。

大学を卒業して、住宅や小規模な店舗の設計に携わり始めると、ディテールを学ぶ必要性を感じるようになりました。住宅などの小規模な建物の場合は、ディテールによって空間が構成されているというか、ディテールの集合体なんだと思うようになって。その時期には、中村好文さんや伊礼智さんの本を読んで勉強をしていました。

また時間が経って、次は「ち方」の重要性を考えるようになりました。その時にはアトリエワンさんの本を読んで、考え方を学んでいましたね。

鈴木:「建ち方」というのは建物のボリュームなどの外観のことを言うんですか?

齋藤:僕が思っている「建ち方」は、ミクロとマクロの視点で見た時に住宅がどうあるべきか?という風に解釈をしています。一つ一つの住宅が集まって都市が形成されていて、その中で住宅がどうあるべきか?という。アトリエワンさんはマクロの視点から見た住宅を大事にされていて、その考え方に共感するようになりました。

例えば、街並みに合わせることが必要なのか?逆に合わせないことが必要なのか?目立った方がいいのか?目立たない方がいいのか?とか。そんな視点を持ちながら、プロポーションとして美しく佇む建築をつくりたいと思っています。

住宅が機能的であることはもちろん大事なのですが、それは当然クリアした上で、建築としてどうあるべきかを突き詰めたいと考えています。それが設計事務所としての仕事なのかなと思います。

 

開かれた設計事務所を目指し、沼垂テラス商店街に事務所をオープン

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鈴木:沼垂テラスに事務所を構えた理由を教えて頂けますか?

齋藤:僕が独立を考え始めた時が、ちょうど沼垂テラスが注目を集め始めた時期だったんです。元々自分が沼垂出身で地元を盛り上げたいなという気持ちもありました。あと、設計事務所って閉鎖的なイメージがあるなと感じていて。気軽に立ち寄れる開かれた設計事務所にしたいと思っていました。

そう考えた時に、商店街に設計事務所があってもいいんじゃないか?と思い、沼垂テラス商店街で事務所を開くことにしたんです。

鈴木:観葉植物を販売しているのはどういった理由からですか?

齋藤:何か物販をやりたいなとも考えていて、単純に自分が観葉植物が好きだという理由もあったんですけど、これまで建築をやってきて庭師さんなど植物を扱う人とのつながりがあって。ポピュラーな樹種でも樹形が面白いものや、他のお店ではあまり扱っていないレアな植物を集めています。

あと、観葉植物って一つ置いただけで空間の質が変わると思っているんですが、特に単体で空間の質を変えられる植物を紹介していきたいなと思っています。

ただ、最初は一人でやってたのでここで設計の仕事をしながら植物の販売をやっていたんですが、今は3人に増えたので事務所は近くで別の場所を借りてやっています。営業時間はスタッフの誰かがここで仕事をして店を開けているんですが、植物のおかげで酸素がいっぱいなので集中して気持ちよく仕事ができますね(笑)。

 

中庭で緩やかにつながる2世帯住宅

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柳島町の住宅(写真提供:PLOOT)

鈴木:次に、2月に完成見学会をやっていた中央区柳島町の住宅について教えて頂けますか?

齋藤:完全分離の二世帯住宅なんですが、お互いの気配を感じないような家を希望されていました。お施主さんからの要望はそれだけでしたね。 敷地が、新しくできた6区画ほどの造成地の1区画なんですが、そういう造成地に造成地らしい建物を建てたくなくて

間口が狭いので、手前に駐車スペースを取って、奥に総2階の建物を建てるというのが一般的な建ち方なんですけど、コートハウスを提案させて頂きました。中庭が2つの世帯のバッファーゾーン(緩衝地帯)の役割を持つ建ち方ですね。

フロアで世帯を分けることは最初に決まっていたのですが、バッファゾーンを介してつながるような設計にしています。

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苔庭がある中庭(写真提供:PLOOT)

それから、1階と2階とで違う世界観で設計をしていて、1階は天井を低く抑え、中庭を眺められる落ち着いた空間に。縁側のようなリビングをつくっています。

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天井はラワンベニヤ、床はチークの無垢材で仕上げた1階。(写真提供:PLOOT)
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1階のリビングから苔庭が眺められる。(写真提供:PLOOT)

2階は勾配天井で明るく、シンプルに。1階と2階で対照的な空間にしています。

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2階の床はオークのヘリンボーン。
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ブラケットライトとトップライトの光が際立つ2階。

鈴木:中庭に木が立っていますが、1階は地上部分の苔が眺められ、2階からは枝葉が眺められるようになっているんですね。

齋藤:そうですね。植物と一緒に建物を設計したいというのがあって。あとは、建物を敷地に対して少し斜めにずらすことで2階から信濃川が見えるようにしたりとか。また、斜めにすることでアプローチに引き込まれるような印象を与えています。

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ガルバリウムと塗り壁の2種類の外壁材が使い分けられている。(写真提供:PLOOT)

外壁はジョリパッド(塗り壁)と横葺きのガルバリウムの2種類を使い分けています。ガルバリウムは屋根と外壁が繋がっていて、建物がくるまれるような張り方にしていますね。

あとは南側のファサード(正面)に窓を設けないようにしているんですが、それもあってコートハウスにして光を取り込めるようにしています。逆に、大きい窓をファサード面に設けて、その結果外から丸見えになるからカーテンを閉めっぱなしにする、という状態は避けたいですので。

鈴木:そういう建物は現実にはけっこう多いですよね…。あと、階高は全体的に抑えられているんでしょうか?

齋藤:そうですね。階高はなるべく低くしたいと思っています。建物のプロポーションがきれいになるからですね。あとは階高を抑えることが、空調効率を良くすることにも繋がりますし。

 

住宅と店舗をベースに、リノベやランドスケープの領域へ

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鈴木:最後に、今後やっていきたいことや目標について聞かせて頂けますか?

齋藤:まだ沼垂テラスで始めて1年ちょっとなので、今やっている住宅と店舗をしっかりコツコツとやっていきたいと思っています。あと、規模を拡大したいという意味ではありませんが、住宅以外のこともやっていきたいと考えています。まだ実績はありませんが、ランドスケープデザインを建築的なアプローチでやってみたいですね。

あと、今は新潟市内の仕事が中心なんですが、設計の仕事に関しては、今後は県外の仕事もしていきたいと思っています。

それから今は旭町通で築40年のマンションリノベーションもやっています。「古いマンションでこういう暮らし方ができるんだ」という、設計事務所だからこその提案をしていきたいですね。

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常にインプットを怠らず、よりよい建築の在り方を追求する齋藤さん。独自の世界観を持つ齋藤さんが、今後どのような住宅や店舗を生み出していくか気になるところです。

この4月には同じ沼垂テラス商店街に新しいカフェ「紡ぐ珈琲と。」がオープン。こちらの内外装も齋藤さんが手掛けています。

また、柳島町の家の隣の区画でも現在新築が進行中。今年続々と完成する住宅や店舗に注目したいですね。

取材協力/株式会社PLOOT 齋藤祐司さん

写真・文/鈴木亮平

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鈴木 亮平

新潟市在住のフリーランスの編集者・ライター(屋号:Daily Lives)。1983年生まれ。企画・編集・取材・コピーライティング・撮影とコンテンツ制作に必要なスキルを幅広くカバー。紙・WEB問わずコンテンツ制作を行う。