#021 ウォールナットの素材感が美しい、くつろぎのダウンフロアリビング

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鈴木 亮平

新潟市在住のフリーランスの編集者・ライター(屋号:Daily Lives)。1983年生まれ。企画・編集・取材・コピーライティング・撮影とコンテンツ制作に必要なスキルを幅広くカバー。紙・WEB問わずコンテンツ制作を行う。

新潟市江南区荻曽根に暮らすIさん家族の家を訪れた。

白いガルバリウム鋼板をベースに、杉板押し縁張りの壁が組み合わせられ、そのコントラストがシャープでありながら温かみを感じさせる。

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この家に暮らすのは、30代のIさんご夫婦と今年1月に誕生した生後6か月になる双子の赤ちゃん。

結婚をしてから近くのアパートに夫婦で住んでいたが、程なく新築の計画をスタートした。

ご主人の提案でファイナンシャルプランナーの昆知宏さん(新潟住まいのお金相談室)に資金計画をしてもらうことから家づくりを始めることにしたという。

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そこで、数十年先までのライフプランをつくってもらい、家づくりに掛けられる予算を具体的に出すことができた

そうして不安を取り除きながら、家づくりを進めていった。

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土地の高低差を生かしたダウンフロアリビング

敷地は西側道路に接しており、それ以外の三方には住宅が建っていた。また、道路側よりも奥側が高い、高低差のある土地でもあった。

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「1階にリビングを設けながらも、光が入る明るい空間にしたいということ。それから、大きい吹き抜けを設けたいことをお伝えしました」と奥様。

しかしながら、諸条件を考えていくと、必要な空間を確保するのに吹き抜けを設けることは難しかった。

「通常、高低差がある土地の場合は、アプローチの階段で調整するのが一般的です。しかし、そうせずに家の中で上がっていくようにしました」と設計をした加藤淳さん。

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そうしてつくられたのが、I邸の特徴的な空間である、家の中央に設けられたダウンフロアリビングだ。

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玄関と同じ高さで続くリビングだが、その周囲は40cm程上がっている

さらにリビング部分だけは天井高を上げているので、実際の面積以上に広がりを得られる空間が完成した。

TVボード側には高窓を設けており、決して大きな窓ではないが、ここから降り注ぐ穏やかな光が空間を優しく包み込んでいた。

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また、天井近くに2カ所の引き戸が設けられているが、その引き戸の先は2階の寝室と廊下だ。小さな窓ではあるが、その抜け感が空間にさらなる広がりを与えている

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「リビングは普段はマットを敷いて子どもたちを昼寝させたりしています。僕は段差に腰かけてみたり、段の上で寝転がって子どもたちを眺めたり。いろんな使い方ができるのがいいですね。ダイニングに向かって段々上がっていくのも面白いですし」とご主人。

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この空間の面白さは、間取りの検討だけでは決して辿り着けないもの。空間を立体で捉え、抜け感や光の入り方を緻密に考える加藤さんの真骨頂と言える。

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加藤さんが描く、ダウンフロアリビングの概念図。

「加藤さんの考える空間を深く読み解きながら一緒につくっていくのが施工の醍醐味。難しくもありましたが、つくっていて楽しかったですね」と渡部さんは話す。

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上質なウォールナットの家具が並ぶダイニング

1階の床はウォールナットの無垢材。重厚な高級材だが、「インテリアショップで見ていた家具を入れることを決めていたので、それに合わせて床材を同じ素材でそろえました」とご主人。

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ダイニングテーブル、ソファ、ベンチの3点は全てウォールナット材で、統一感のある美しい一角がつくられていた。

その後ろの壁にはヴィンテージ加工が施されたグレーの羽目板が張られており、そのシャビー感が家具を引き立ててくれる

ソファはダイニング用にも使える絶妙な高さが特徴だ。「このスペースをただご飯を食べるだけの場所にするのはもったいないと思ったんです。いくつかの用途を持たせたくて、この家具を選びました」(ご主人)。

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ダイニングとして使えるのはもちろん、リビングソファのようにくつろいでテレビを見たり、デイベッドのように昼寝に使うこともできる。

 

リビングダイニングを見渡す対面キッチン

キッチンは北東角の奥まった場所にあるが、ここからは空間全体が見渡せる。

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「アパートの時はキッチンにいると孤立するような間取りだったので、対面キッチンに憧れていました。ただ、キッチンの手元は隠したかったので逆からは見えないようにしています」と奥様。

キッチン内の造作カップボードは、床材に合わせてダークブラウンに塗装。棚の中が見えないように、ガラスは入れずにシナ合板の戸ですっきりまとめている。

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一方のキッチンは手元を照らすための間接照明を仕込むなど、細やかな配慮がされている。

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ナナカマドを愛でながらウッドデッキで過ごす

ダイニングのソファからは正面に4畳弱のウッドデッキが眺められるが、そこは坪庭のような空間だ。

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「この場所を開いた理由は、ちょうど南東側だけが建物がなく抜けていたからです」と加藤さん。木塀の奥には隣家の庭が広がっており、そこに生える木々が借景になっている。

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木塀とデッキの間のわずかな隙間にはナナカマドが植えられており、鮮やかな緑が目を楽しませてくれる。

「朝起きたら、コーヒーを持ってデッキに出てグロー(電子タバコ)を吸い、夕方仕事から帰ってきたら、ここでビールを飲みながら過ごしています。孤立した感じのないデッキですし、毎日使っていますね。アウトドアが好きなので、秋になったら七輪でサンマを焼きながら晩酌したいです(笑)」とご主人。

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「夕方の涼しい時間帯に子どもたちをバウンサーに載せて夕涼みをさせたりもしています。もう少し大きくなったら、プール遊びもさせてあげたいですね」(奥様)。

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ウッドデッキは多くの人が憧れるものの、実際には使わなくなることも多いが、Iさん夫婦は屋内のような感覚で毎日デッキに出ている。「屋根があるから、雨でも日差しが強い日でも使いやすいですよね」と渡部さん。

 

機能的なサニタリーや収納計画

ここまでシンプルでダイナミックなLDKを見てきたが、機能性を追求した細やかな設計もI邸の特徴だ。例えば、3畳分と広めにつくったサニタリーは、洗面所と分けたことで一層ゆとりが生まれている。

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天井には2本の物干し竿を吊るせるようにしており、ここでたっぷり洗濯物が干せる。「広いので子どもたち2人をお風呂に入れる時も便利ですね」と奥様。

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また、壁の一部はOSBで仕上げ、ダイソンの掃除機の充電スペースとして活用している。

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玄関のシューズクロークは引き戸で目隠しができるようになっているが、双子用の大きなベビーカーも格納できる。

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2枚の引き戸を閉めれば、ミニマルな空間が完成する。

 

パインの床で仕上げられた2階

次に階段を上がって2階へ行くと、パインの床材が張られており、重厚な雰囲気の1階とは対照的な軽やかな空間が広がっていた。

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南向きの寝室は日当たりが良く、奥には小上がりスペースが設けられている。

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1階のリビングの天井を高くした結果、自然に小上がりがつくられたが、セカンドリビングのように使ったり、書斎にしたり、お子さんと遊んだりと、いろいろな用途に使うことができそうだ。

その下の開口部はリビングに繋がる小窓だが、お子さんが小さいので、普段は安全のため戸が開かないように固定している。

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2階には、他に子ども部屋が2部屋と納戸が設けられているが、1室は夫婦のクローゼットとして活用中。

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クローゼットに建具を付けないことで、部屋を広く見せることができ、使い方の自由度も高められている

 

光を取り入れたい南側には隣家が迫り、開きたくない西側だけがあいているという難しい敷地。そんな土地のクセを読み解き、導き出されたのが高天井のダウンフロアリビングだ。

大勢の人が集まってもゆったりと腰を掛けられるリビングは、家具を置かない状態がちょうどいい

電気を消せば、高窓から斜めに注ぐ光はフェルメールの絵画のように淡いグラデーションをつくりだす。

魚礁(ぎょしょう)に魚が集まるように、集う人が心地いい場所を自由に見つけ出せる空間が完成した。

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I邸
新潟市江南区
延床面積 113.35㎡(34.29坪)
竣工年月 2019年3月
施工 株式会社Ag-工務店
設計 加藤淳一級建築士事務所

(写真・文/鈴木亮平

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鈴木 亮平

新潟市在住のフリーランスの編集者・ライター(屋号:Daily Lives)。1983年生まれ。企画・編集・取材・コピーライティング・撮影とコンテンツ制作に必要なスキルを幅広くカバー。紙・WEB問わずコンテンツ制作を行う。