裸足で過ごしたくなる畳リビング。のどかな環境でスローな時を愉しむ

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鈴木 亮平

新潟県聖籠町在住の編集者・ライター・カメラマン。1983年生まれ。企画・編集・取材・コピーライティング・撮影とコンテンツ制作に必要なスキルを幅広くカバー。累計800軒以上の住宅取材を行う。

今年の8月に聖籠町に完成した、青空をバックに映える白亜の住まい。

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高さを抑えた片流れ屋根に、庭を囲む木塀。深い軒に濡れ縁があり、ポーチの角には雨水を流す鎖樋が設けられています。

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シンプル&モダンな外観デザインでありながら、伝統的な日本の住まいの要素が取り入れられており、雨の日には、鎖樋を伝って水盤へと注ぐ水の音が風情を感じさせてくれそうです。

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こちらは、加藤淳一級建築士事務所さんが設計し、株式会社Ag-工務店さんが施工を担当。

のどかな田園地域に立つ住まいは、家の中にも和の要素が取り入れられており、子どもの頃の夏休みに祖父母の家で過ごした思い出がよみがえるような、郷愁をも感じさせる空気が流れています。

では、中に入ってみましょう。

 

桐の無垢フローリングが広がる1階

深い庇に守られたポーチの木製ドアを開けると、そこはシューズクローク付きの玄関です。

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シューズクロークには大容量の可動棚があり、その両側はコートが掛けられるハンガーパイプ。

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小さな空間にシンメトリーが表現されています。

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玄関の壁のニッチは一輪挿しなどを飾るのにちょうどいいスペース。有孔ボードで仕上げられているので、フックを付けて、カギを掛けておくという実用的な使い方もいいでしょう。

1階の床は柔らかく軽い桐の無垢フローリング。杉やパインと比べても、桐はさらに軽さを感じさせる素材です。

ガラスの代わりにポリカーボネートを使った引き戸の先は廊下で、洗面台が玄関向かいに配されています。

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家に帰ったら、まず最初に手洗い。そんな衛生的な習慣が身に付きそうです。

 

使い勝手のいい造作のカップボードに、便利なパントリー

手を洗って廊下を進むと、正面には居間、その手前の左側にはキッチンが見えます。

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対面キッチンの後ろには、造作のカップボード。

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電子レンジや炊飯器などの家電や食器、ゴミ箱を置くスペースまでが計算されて造り込まれています。

その奥の目立たない場所はパントリー。

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食品ストックに水やお酒、キッチンペーパーや食品用ラップなどをたっぷり収納できますので、消耗品を切らすストレスがなくなりそうです。

 

リビング・ダイニングではなく、お茶の間

キッチンから見える居間がこちらです。

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そこは、ゆったりとした畳の間。リビング・ダイニングという考え方ではなく、ちゃぶ台を家族で囲む昔ながらの日本の「茶の間」スタイルです。

茶の間のメリットは、リビングとダイニングの両方の機能を備えていること。一石二鳥で家の広さを抑えることができますし、家具の数を減らすことで部屋をすっきりとした状態にできます。

掃除がしやすいですし、いつでもごろりと横になることができます。

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ちゃぶ台と畳にあらゆる機能を詰め込んだ茶の間は、とても合理的であり、そのシンプルさは禅の精神に通ずるものがありそうです。

南側には窓が連続していますが、気密性能を高めるため、中央と右は開閉できないフィックス窓に。左側だけが開閉できるようになっています。

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外は庇が伸びており、暑さが厳しい8月中旬の正午近くの日射が室内にほとんど入り込まないように計算されています。

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庭に木が植えられると、木漏れ日や四季の移り変わりを楽しめる、一層居心地いい茶の間が完成しそうです。

テレビは壁掛け式で、その下はHDDレコーダーなどを格納できるスペース。

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その左側は文机で、壁に隠された棚には雑多になりがちな日用品やWi-Fiルーターを入れられます。

反対側も同様に棚がありますので、壁の裏を利用してたっぷりと物を入れておくことができます。

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また、カウンター下には床置き型のエアコンが設置されており、冬場は足元から室内をポカポカに暖められます。

茶の間の隣の部屋は、普段は開放して一体に使うことができますが、戸を閉めれば個室としての利用も可能。

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将来的に1階だけで生活ができるよう、こちらは寝室として使えるように考えられています。

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ところでこちらの茶の間、開口部が広く取られた南側から離れた寝室側まで明るいですが、それは吹き抜けと高窓のおかげ。

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部分的に天井を上げた2階部分の2面に高窓が設けられており、そこからの光が室内に降り注ぐように設計されています。

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この工夫により、空間に広がりがもたらされ、天窓を設けるのと同様の明るさが得られています。

 

4.5畳の脱衣所兼ランドリー

次に脱衣所へ行ってみましょう。

脱衣所は、居間と逆サイドの東端に設けられていますが、なんと4.5畳もの広さがあります。

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正方形の空間には、ガス乾燥機が堂々たる佇まいで鎮座。窓側には衣類をたっぷりと収納できる棚が設けられています。

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天井には物干しポールが2本仕込まれているので、乾燥機が使えない衣類はそちらへ吊るし干し。

この贅沢な広さの脱衣所が、毎日の家事の負担を軽減してくれることでしょう。洗面スペースと分けているため、来客時も気にせずに洗濯物を干しておくことができます。

 

茶の間とつながる隠れ家のような書斎

2階には、将来的に2室に分けられる子ども部屋。

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そして、納戸、トイレ、ご主人の書斎が設けられています。

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書斎の奥には文机が設けられており、壁一面の棚にはご主人のスニーカーコレクションがずらり。

好きなものに囲まれながら自分だけの時間を過ごせる空間で、家族と距離を置いて一人で過ごしたい時はここへ。

新型コロナウイルスの影響で「ソーシャルディスタンス」という言葉が一般的になりましたが、家族間で距離を取る「ファミリーディスタンス」という言葉も登場しています。

こちらは感染対策という意味だけでなく、適度な家族間の距離を取ることが家族内のストレスを緩和するという意味合いでも使われているようです。

リモートワークが推進されて家で過ごす時間が長くなると、このようなちょっと籠もれる小屋のような空間は、ますます必要とされていくのかもしれません。

ちなみにこの書斎は完全個室ではなく、吹き抜けに面しているため、顔を出せば茶の間を見下ろすことができます。

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こちらのお住まいは、加藤淳一級建築士事務所さんが標準仕様とする耐震等級3。断熱はHEAT20のG1グレード(聖籠町ではUA値0.48)を超える高断熱仕様。

桐の床に畳リビングと、裸足で過ごしたくなる住まいは、日本的であり、どこかノスタルジックな空気感があります。それは、その優しい床材に加えて、和紙クロスによる柔らかい光も影響しているかもしれません。

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都市部から離れた聖籠町で、のどかな景色と共にスローな時間を過ごす。穏やかで贅沢な日常をこの家が叶えてくれそうです。

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設計/加藤淳一級建築士事務所
施工/株式会社Ag-工務店

写真・文/Daily Lives Niigata 鈴木亮平

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鈴木 亮平

新潟県聖籠町在住の編集者・ライター・カメラマン。1983年生まれ。企画・編集・取材・コピーライティング・撮影とコンテンツ制作に必要なスキルを幅広くカバー。累計800軒以上の住宅取材を行う。