家造・コンセプトハウスOPEN!歴史的建造物を間近に眺める、五角形ガレージハウス

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鈴木 亮平

新潟市在住の編集者・ライター(屋号:Daily Lives)。1983年生まれ。企画・編集・取材・コピーライティング・撮影とコンテンツ制作に必要なスキルを幅広くカバー。累計500軒以上の住宅取材を行う。

新潟市を流れる信濃川。その河口近くには国の重要文化財である旧新潟税関庁舎や、復元された石造りの倉庫・荷揚げ場があり、湊町新潟の歴史を垣間見ることができる。

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緑豊かな敷地に立つ旧新潟税関庁舎は1869年に開所された。
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旧新潟税関庁舎の前には、荷揚げ場が復元されている。

広い敷地に歴史的建造物がゆったりと立ち、堀沿いの柳が揺れる風景は、なんとも穏やかで風情を感じさせる。

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その旧新潟税関庁舎のはす向かいに、この夏に完成し、8月28日(土)に公開が始まる家造(株式会社加藤組)のコンセプトハウスが立っている。

三叉路のような場所に立つコンセプトハウスは小ぢんまりとした佇まいで、コーナーにはシンボルツリー。主張することのない落ち着いた外観デザインで、角の取れたフォルムが優しい風景をつくり出している。

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台形の敷地は約28坪。しかし、その土地の東側2.1mは計画道路にかかっており、将来的にはそこまで道路が拡幅される予定だという。計画道路分を差し引いて残る土地はわずか22坪。その制約の中でコンセプトハウスの建築計画が進められた。

建築計画全体のプロジェクト管理を家造のマネージャー・若山拓郎さんが担当。

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家造マネージャー・若山拓郎さん

設計を家造の設計顧問・水澤悟さんが行った。

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水澤悟建築設計事務所・水澤悟さん

「東側に旧新潟税関庁舎の公園が広がる景色のいい土地で、信濃川や日本海が近く、繁華街にも歩いて行ける。住む場所として非常にいい環境だと思いました」と水澤さん。

 

床面積を確保するため、敷地形状に合わせた平面に

コンセプトハウスは夫婦やカップルなどの2人暮らしを想定。車2台分の駐車スペースを確保した2階建てという条件で計画がスタートした。

まず最初に考えられたのが駐車スペースの位置だという。一番初めは東側の大通りに面した駐車スペースを検討していたが、交通量が多いことから、北西側の小道沿いに変更。1台は青空駐車場とし、もう1台はインナーガレージにして建物に組み込む形を取った。

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「建物は不整形な敷地なりの形にして床面積を最大限確保することにしました。同じ理由で必然的にインナーガレージを取ることになったんです」(水澤さん)。

ガレージのサイドには大きな四角い開口が設けられており、暗く窮屈になりがちなインナーガレージに明るさと開放感をもたらしている。ガレージ内の壁のうち2面は杉板、西側はガルバリウム鋼板で張り分けメリハリをつけているのも特徴だ。

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奥には階段下のスペースを活用した外物置も設けられており、タイヤや除雪道具などをすっきりと収納できる。

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また、大通りから見た時に最も目立つコーナー部分は野菜の“面取り”のようにカットすることで、角が取れた外観ができ上がった。

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「コーナー部分にできた土地には木を1本植えていますが、この木が成長して家よりも目立つようになるのが理想です。その後ろの壁はレッドシダーで、それ以外はガルバリウム鋼板で仕上げています。軒はあえて短くしていますが、雨水で外壁が洗われることを意図しています」(水澤さん)。

 

アウトドア道具をたっぷり置ける広い玄関土間

ガレージとポーチは一体になっており、雨や雪で濡れるストレスなく車と家を行き来できることも、この家の大きなメリット。

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玄関ドアを開けると豆砂利洗い出し仕上げの土間があり、その左奥には開いた扇のように緩やかな角を持つ空間が広がっている。

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「“アウトドア志向のライフスタイル”をこの家のテーマにしています。玄関土間を広く取っているのは、キャンプ道具や自転車を置けるようにするためなんです。かしこまった玄関ではなく、アクティブに使うための玄関ですね」と水澤さん。

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第1種換気システムとエアコンを組み合わせた全館空調が導入された建物は、真夏でも玄関を開けた瞬間から爽やかな空気に包まれる。ヒンヤリとした洞窟に入ったような…というのは言い過ぎだが、最高気温が34.5℃となったこの日はそれに近い空気の清涼感を味わうことができた。

広い土間は自由度の高い空間のため、趣味やライフスタイルに合わせて幅広い使い方ができそうだ。例えば、杉板の壁に金具を付けて好みの位置に棚を追加したり、デスクを置いて仕事部屋や趣味室にしたり。

土足のまま入れる気軽さがあるので、椅子とテーブルを置いて客間として使うというのもアリかもしれない。

 

機能的な水回りは木のぬくもりたっぷり

玄関で靴を脱ぎ格子戸を開けると、オークの床が奥へと伸びていた。

正面にはトイレ、左側には洗面脱衣室と浴室がある。

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トイレは一般的な1畳分のトイレの1.5倍の幅(1,365mm)があり、手洗い器にカウンター、収納棚までが造作されている。必要以上に長居したくなりそうな空間だ。

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洗面脱衣室の壁はヒノキの羽目板仕上げ。

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物干しバーを備えており、洗濯物をその場でサッと干すことができるため、濡れた洗濯物を持ってあちこち動き回るストレスもない。

1階の半分近くをガレージが占めているため、1階は玄関と水回りがあるのみで、メインの居室は2階に配されている。

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2階リビングは旧税関庁舎を眺める特等席

階段を上がり、2階にたどり着くと見えるのがこちらの景色。

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15畳程の空間の手前から、リビング、ダイニング、キッチンが並んでいる。

東面に設けられた4連の窓から見えるのは、旧新潟税関庁舎の敷地に生える木々。午後になると太陽に照らされた緑が一層鮮やかに目に飛び込んでくる。

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ダイニング側からは旧新潟税関庁舎の塔屋が眺められ、その奥には石造りの新潟市歴史博物館が見える。

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車通りの多い道路に面しているが、椅子に腰かけると視界に車は入らない。電線が多少気になるものの、住宅街のように隣家や向かいの家が目の前に迫るような窮屈感は皆無で、カーテンやブラインドなしでも室内のプライバシーはある程度保たれている。

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「当初はスクリーンのような大きなFIX窓を設けたいと思っていましたが、準防火地域ということで大きなFIX窓を入れるのが難しく、その代わりに4枚の窓を並べ、間にサッシを支える柱を入れることで連窓に見えるようにしました。中央の2枚はFIX。両サイドは開閉する窓で、全ての窓の拭き掃除ができます」と水澤さん。

階段側の壁はヌックのように掘り込まれたテレビボード。

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テレビの代わりにクッションを敷き、カウチソファのようにくつろぐのも良さそうだ。ホワイトアッシュ(タモ)の木目がオークの床と調和しており、シンプルかつ上品な一角となっている。

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桜の木を見下ろす多角形キッチンは機能性も抜群

2階の中でも特にユニークな空間が多角形のキッチン。

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ちょうど玄関の真上に位置しており、ホワイトアッシュの面材で仕上げられたキッチンが造作されている。

「I型とL型をミックスさせたような形で、料理に集中するのにも、リビングに居る家族やゲストと会話をするのにも便利です。リビングとの間にある棚の高さは1,200mmで、空間のつながりをつくりながらもリビングからキッチン内が見えないようにしています。棚の中は調理家電や食器を置くスペースですね」(水澤さん)。

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コーナー部分はシンクで、そこに設けられたスクエア窓からは通りの景色を眺められる。

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桜が満開になる春は、キッチンに立つ時間が一層楽しくなりそうだ。

冷蔵庫スペースは目立たない場所にあり、その向かいは食品ストックを置く棚。構造上欠かせない耐力壁がちょうどいい目隠しになっている。

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天井高を抑えた寝室には、便利なワークスペースも

限られたスペースの中で階段の位置をどこにするか?というのも、このコンセプトハウスを設計する上で重要な命題となった。

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水澤さんは建物中央に階段を配するプランに決めたが、パブリックなLDKとプライベートな寝室を区切る役割をこの階段は担っている。

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天井高2,100mmの寝室は籠もり感があり落ち着ける空間。壁・天井は調湿消臭作用を持つ漆喰塗料で仕上げられており、天然素材ならではのマットな質感もいい。

先ほどキッチン側で見られた耐力壁はそのまま寝室側に伸びており、その壁の奥はワークスペースになっている。

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「この袖壁があることで集中しやすい場所になりました。窓もデスクより後ろに配置して集中力を高めやすくしています」(水澤さん)。鏡や化粧品を置いてドレッサーとして使うのにも良さそうだ。

隣家が迫る南側に窓は設けず、壁一面をクローゼットにすることで収納スペースを確保。

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ハンガーポールは女性のドレスを掛けられるくらいの高さにして、その上の枕棚を低めにしているのも細やかな配慮。それにより、枕棚の奥の荷物にも手が届きやすい設計となっている。

 

足りない収納は広いロフトで確保

最後に2階からさらに上へと伸びる階段を上がってみた。

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そこは天井高1,400mmのロフトで、空調室兼収納スペースになっている。

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「限られた床面積の中で1・2階に十分な収納スペースを確保することがもったいないと思い、ロフトをつくりました。ハシゴで上がるようなロフトでは普段使いできる収納になりませんので、階段を設けて楽に上がれるようにしています」と水澤さん。

ロフトの一角にはLANコンセントが付いており、あまり居住スペースに置きたくないモデムやルーターをまとめることができる。

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以上が、家造のコンセプトハウスの全て。

不整形な狭小地で安易に四角い平面の家を建ててしまっては、土地を十分に活用することが難しい。そこで水澤さんが導き出したのが、土地の形に従って平面を導き出すことだった。

インナーガレージに広い土間空間、歴史的建造物を眺める2階リビングに、桜の木を見下ろすキッチン。ワークスペース付きの寝室、広いロフト収納…。

方位や周辺環境の特徴を読み解き、図面上での試行錯誤を繰り返してコンセプトハウスができ上がった。

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味わいのある素材や、角を取ったディテールなど、随所に職人の手仕事が見られるのも特徴だ。

このコンセプトハウスを出て2分も歩けば信濃川沿いのプロムナードに出られる。

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気持ちいい川風が吹き、佐渡汽船の汽笛が響き渡るリバーサイド。ベンチに腰掛け、新潟市歴史博物館や旧第四銀行住吉町支店などの建築を眺めながら、家で淹れてきたコーヒーを飲んで過ごすのも良いかもしれない。

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水の都と称される新潟市。その魅力を存分に享受する暮らしを、この家が叶えてくれそうだ。

「コンセプトハウスは2022年春頃に販売を予定しています。価格はその頃に公開しますが、このエリアでの居住を考えているという方にも是非ご覧頂きたいですね」(若山さん)。

コンセプトハウスの公開は2021年8月28日(土)スタート。

小さな家で叶える大らかな都市生活。周辺エリアの散策と合わせて見学に訪れてみてはいかがだろうか?

 

家造 緑町コンセプトハウス
新潟市中央区緑町3331(旧新潟税関庁舎向かい)
延床面積 20.8坪+ロフト5.2坪
※詳細・見学等のお問い合わせは、家造公式ホームページ へ。

写真・文/鈴木亮平(Daily Lives Niigata)

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鈴木 亮平

新潟市在住の編集者・ライター(屋号:Daily Lives)。1983年生まれ。企画・編集・取材・コピーライティング・撮影とコンテンツ制作に必要なスキルを幅広くカバー。累計500軒以上の住宅取材を行う。