倉庫兼事務所をリノベーション。モリタ装芸のリノベモデルハウスを徹底解説!

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鈴木 亮平

新潟市在住の編集者・ライター・カメラマン。1983年生まれ。企画・編集・取材・コピーライティング・撮影とコンテンツ制作に必要なスキルを幅広くカバー。累計800軒以上の住宅取材を行う。

新潟市中央区鳥屋野4丁目にあるモリタ装芸本社。数年前、本社屋隣に定額制注文住宅「ROMO」「ROMOの平屋」の2棟のモデルハウスが完成しました。

その後、モデルハウスの隣に立っていた倉庫を改築。2022年の春には、リノベーションモデルハウスと「テーブルとスツールのお店」がオープンしました。

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どんどん拡大していくモリタ装芸の本社ですが、今回はリノベーションモデルハウス兼「テーブルとスツールのお店」がどんな場所なのかを探っていきたいと思います。

モリタ装芸のリノベーションブランド「classicaL(クラシカル)」を運営する小倉直之さんと戸田優希さんのお二人にご案内をして頂きましょう!

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ひっそりと佇む倉庫兼事務所をリノベーション

――では、さっそくこの建物がどんな場所なのか教えてください。

小倉さん ここは元々塗装会社さんの倉庫兼事務所だったんです。1階がシャッター付きの倉庫で、2階が事務所になっていました。3~4年前にその塗装会社さんが手放したタイミングで当社が購入し、しばらくは資材置き場として使っていたんです。当時は「赤レンガ倉庫」と呼んでいましたね。

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その後隣にモデルハウスが建ち、「さらにここでリノベーションのモデルも見られたら面白いんじゃないか?」という話になったんですよ。

当初は一棟丸ごとを戸建てのリノベーションモデルハウスにする案も出ていましたが、建物の2階部分を最近需要が高まっているマンションリノベーションのモデルハウスにすることに決まりました。

2階の面積は15坪(約50㎡)で、1~2人用のマンションの1室に見立てることができます。

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――なるほど。それで2階がリノベーションモデルに。1階はどのように考えていったんですか?

小倉さん 本社内に家具工場を持ち、オリジナルの家具や造作家具をつくれることが当社の強みの一つです。その特長を見せられるように、1階は造作洗面台やオリジナルのテーブル、スツールが見られるショールームに改築することになりました。

――1階正面の大部分にガラス戸が使われていて、中がよく見えるのも特徴ですよね。

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小倉さん ここは車通りはあるんですが人通りが少ない場所で、元々の建物も印象に残りにくいものでした。それで、店の中の動きや賑わいが感じられるようにガラス戸を使いました。元々シャッターが付いていた大きな開口部をそのまま活用しています。

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戸田さん 先程小倉さんが、「造作家具や家具を見せるショールームでもある」と話しましたが、特に造作洗面台に注目される方が多いですね。素材やサイズの違いなどを体感できるように、この建物内には全部で6つの造作洗面台を用意しています。

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奇をてらったものではなく、当社でよく使う素材を使っていますので、参考にしやすいと思いますよ。

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収納の種類、洗面ボウルの深さもいろいろですので、好みのものを見つけ出し、それらを組み合わせて考えることもできます。

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端材を使った商品を考える実験所でもある

――造作洗面台は奥に配されていて、手前部分にはスツールがずらりと並んでいますね。

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小倉さん 当社では家具製作時にどうしても端材が出るので、「それらを利用してどういうものが作れるだろうか?」ということもよく考えています。ここに置かれているスツールは、家具職人と端材の活用法を話し合う中で生まれたのものなんですよ。

捨てられようとしていた無垢材の切れ端がお客様の宝物になるといいなあ…と思いながら製作をしています。

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戸田さん 座面のサイズは直径280mmで、高さは530mmと420mmの2種類を用意しています。樹種はオーク、ウォルナット、メープル、ブラックチェリーなどから選ぶことができ、脚と座面で違う樹種を組み合わせることもできますよ。

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小倉さん そのコーナーに置いてあるスチール脚の台も天板に端材が活用されています。

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今後は端材を使ったオリジナルの額を販売していく予定です。「モリタ装芸ってこんなこともできるんだ!」と私たちの可能性を知って楽しんでもらえたらうれしいですね。

 

オリジナルのミニキッチンやダイニングテーブルも

――1階の奥には木の温もりあふれるキッチンもありますね。これも造作ですか?

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小倉さん はい。これは幅1800mmのキッチンなんですけど、このサイズのキッチンって既製品だと種類が少なくて、なかなか気に入ったものを見つけにくかったりするんです。

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それでオークの面材を張ったミニキッチンを造作しました。IHやシンクの大きさを工夫し、作業スペースを広く取っている点も特徴です。マンションリノベーションをする方は特に参考にしやすいと思いますよ。

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戸田さん キッチンの手前に置いてある丸テーブルも当社のオリジナルです。さすがにこれは端材から作ったものではないですが(笑)。家具が好きな若い人が興味を持って見に来てくださることが多いですね。四角いテーブルも置いています。

それから、造作家具の扉にどんな面材が使えるのかを参考にして頂けるコーナーもあります。引き出しや扉など、収納の種類もいろいろありますので、実際に開け閉めして体験してほしいですね。

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2階は技とアイデアが凝縮したリノベ空間

――ここまで1階の「テーブルとスツールのお店」を見てきました。ここから2階のリノベーションモデルハウスの紹介をお願いします。

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小倉さん 土間で靴を脱ぎ、階段を上がって行きましょう。階段を上がりきったところは内廊下です。ここの壁はラワンのリブ材で仕上げています。

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ちなみに断熱上はここは外という考え方をしていて、断熱ドアを開けた先に玄関があります。どうぞ入ってください。

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――入ってすぐがリビングなんですね!床はチークですか?

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小倉さん 床は新潟市内にある床材店アンドウッドさんの幅細のチーク材にしています。細かい材なので、「すだれ張り」にして、散らばった印象にならないように品よく仕上げました。

先程の内廊下を除くと2階部分は13坪(約43㎡)しかありません。そこでいかに窮屈な思いをせずに暮らせるか?というのをテーマにしており、間仕切りを極力減らしています。

リビングは光を採り込みやすい南側に配置するのが一般的ですが、この建物の南側は新幹線の高架が走っていて景色が悪いので、あえて南には開かず、東側から光を採り込むようにしています。

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この造作デスクの前が東側の窓です。唯一この窓だけ見通しがいいんですよ。ここから桜の木も見えます。

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ちなみに隣にあるのはモルタル研ぎ出しのカウンターです。水に強いので植物を育てるのにいいですよ。

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内部はトイレ・浴室を除くと、建具があるのは洗面脱衣室だけ。その建具も引き込み式にしているので、開けている時は建具が見えません。それも部屋を広く感じさせる工夫です。

――先程見えたTVボード、裏も何かに使えそうですね。

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小倉さん 造作家具が当社の強みですが、この部屋で造作家具をつくり過ぎると空間が狭くなってしまいます。そこで、「壁を家具にする」という考え方をしています。

ちょうどエアコンがあるので、ここは物干しにすることを想定しています。壁の裏なのでリビングから丸見えになることもありません。

もちろん収納棚としても使えますよ。

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――その並びにある壁付けのキッチン。こちらはメーカー既製品のようにも、造作のようにも見えますね。

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小倉さん このキッチンは住設メーカーさんの既製品の中でも価格が安いグレードのものを使っているんですが、面材をラワン材に張り替えることで造作キッチンのように仕上げています。

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壁の白いタイルも安価なものですし、戸棚の引き戸はポリ板をはめただけです。高いものに頼らずとも「整えてあげることでよく見える」というのを伝えたくてこのようなキッチンをつくりました。

その後ろの造作カップボードは冷蔵庫も収納できるつくりにしています。

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先程のTVボードもそうですが、あえて高さは2m程度に抑えて天井部分をあけているんですよ。圧迫感が出ないようにするためです。湿気が籠もりやすいマンションでは、空気の通りをよくする上でもこのような抜けが重要になります。

――マンションに住まわれている方の部屋の取材で、空気が流れにくい場所にサーキュレーターの風を当てているのを見たことがあります。空気の流れを考えるのは大事ですよね。カップボードの裏側がダイニングなんですね。

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小倉さん ダイニングをキッチンの隣に配置するのがセオリーですが、ここではそのスペースの確保が難しいため、カップボードの裏側をダイニングにしています。

カップボードの一部を貫通させて配膳口にしているのもポイントですね。

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お気に入りのカップなどを飾れるようにダイニング側にはガラス戸付きの棚も設けています。

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その隣のテーブルがある部屋は寝室です。ベッドを置く想定で、クローゼットも備えています。

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あとは、洗面脱衣室とトイレですね。

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リビングと同じようにラワン材を使って色や質感を整え、少し懐かしさを感じさせるデザインにしました。

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――比較的小さな空間ですが、たくさんのアイデアが詰め込まれていて、とても参考になりますね。1階の「テーブルとスツールのお店」と2階の「リノベーションモデルハウス」、それぞれ詳しくご紹介して頂きありがとうございました!最後に一言ずつお願いします。

小倉さん 当社では提案型リノベーションを大事にしていて、ここで私たちのアイデアをお伝えしていきたいと考えています。空間や造作家具を見ながら、リノベーションの可能性を感じてもらえたらうれしいです。

戸田さん 営業時間は10:00~17:30で、水曜日が定休日となっています。予約は要りませんのでぜひ気軽に立ち寄って頂きたいですね。ここにスタッフがいない場合は、お手数ですがすぐそばにある本社の方にお声掛け頂けたらと思います!

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小倉さん、戸田さん、ありがとうございました!

オリジナルの家具や造作家具が見られるだけでなく、リノベーションのモデルハウスも備えているこちらのお店、ぜひ気軽に立ち寄ってみてはいかがでしょうか?さまざまな発見があるはずですよ。

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テーブルとスツールのお店&リノベーションモデルハウス by モリタ装芸
住所:新潟市中央区鳥屋野4-18-10 モリタ装芸本社敷地内
TEL:025-284-3558(モリタ装芸代表電話)
営業時間:10:00~17:30
定休日:水曜

(取材・写真・文/Daily Lives Niigata 鈴木亮平

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新潟市在住の編集者・ライター・カメラマン。1983年生まれ。企画・編集・取材・コピーライティング・撮影とコンテンツ制作に必要なスキルを幅広くカバー。累計800軒以上の住宅取材を行う。